朝日がうっすらと部屋に

どのくらい、激は私に力を与えてくれたのか・・・ 明るくなっている。 激の姿は、もうない。 うっすらと、気配が残っている。 「まだ、消えないでね・・・・」 かすかに、うなずいて激は朝日の中にいなくなった。 朝の回診にきた、看護師さんに退院させてとお願い…

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気がつくと

病室に戻っていた。 静ちゃんから離れて自分で戻ったようで、 静ちゃんの姿はない。 真っ暗な病室に、うっすらと明かりが見える。 二人部屋の、隣人の携帯の光のようだ・・・・ 大切な人とのメールかな、 ゆっくり、そっと打ち込んでいる様子が伺える ふっと、窓際に気配がした。 激が、座っていた。 …

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たった一度

母が、その力を捨てたいと泣き続けたことがある。 弟の激が、死んだ日のことだ。 激は、母と私の奇妙な力に対してとても恐怖を抱いていて 小学生になったころから、家族とは口をきかなくなった。 母も、私も、こんなんだから生身の人間の気持ちはよくわからず 毎日その手の輩の相手ばかりしていた。 父は、たまに帰ってくると研…

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母の行動

アタシの母は、時々しか会わないけど 元気だ。 彼女も、子供のころから見えていたらしい。 父と結婚して石川に来たが、彼女は福井県の生まれだ。 堤防沿いに桜並木が続く、静かな町の市営住宅で父と二人きり ひっそり暮らしていたそうだ。 彼女の母は、生活のために朝早く牛乳配達をしていた。 当時は、自転車で重いビンを配達していた。 福井…

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静ちゃん、ふたたび。

緊急で入り口は、まだ明け方なのに混雑している。 こんなに、緊急患者は多いんだ・・・・・ 病院を出たところで、静ちゃんが止まった。 「約束したの、青雀ちゃんを連れてくるって・・・」 静ちゃんの見つめる先に、男の子が立っている 「激・・」 私の弟だった。 今まで、一度…

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さらに、静ちゃん。

忘れ物をしたといって戻ってきた静ちゃん。 看護師さんが居なくなると、しばし謙さんと話し込んでいる。 最近、私から預かっていく輩は どうも、自殺者が多いらしい。 「気持ちがわからないから、話を聞いてあげてもどう言ってあげていいかわからないのよね」 「なんだか、部屋に溜まっちゃっててさ」 明るく言ってるが、そりゃやばいでしょ…

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最近の静ちゃん。

すっかり、体調を崩してしまった。 病院にいるなんて・・・・・ 軽い肺炎になってしまった私の周りには いつにも増して、いろんな輩があつまる。 家で寝ているときは静ちゃんが来て、適当につれて帰ってくれた。 たまに、母がお茶のみ友達として相談を聞いていた。 謙さんもほとんど毎日来てくれて、数人を帰らせてくれていた。 …

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K-5-21

坂詰君が来るのを待たずに、こちらから乗り込んだ。 病室の中は、バタバタしている。 片隅に、坂詰君と先生がいる。 二人は、ただ、横たわる坂詰君の身体を見ているだけだ。 「やっぱり、ほっとけなくて来たわ」 「どうする、もう一度入ろうか?」 坂詰君は、首を横に振った。 …

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K-5-20

私は、ベッドから起き上がれない。 久しぶりの大仕事だったからか、それともやるせない気持ちのせいか・・ ベッドには坂詰君が腰掛けていた。 「このあと、どうするの?」 「・・・・・・・生きたいです。」 坂詰君は泣いていた。 「あと、どのくらいでしょうね。僕の身体・・・・」 …

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K-5-19

私の意識が戻るのを待っていたのでしょう、 実際には青雀だけど・・・ 「聞こえますか?、坂詰さん、わかりますか?」 警官の声が聞こえる。 軽くうなずく。 この痛みからいくと、そんなに長くここには居られないな。 自分の身体に戻れなくなるかもしれない・・・ そう考えていると、私の意…

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K-5-18

大津君の事務所が、加害者とされている男の弁護を引き受けました。 男は、護身用ナイフを所持していたのは認めましたが 喧嘩を売ってきたのは課長で 刺したのは自分ではないことを主張しています。 もちろん課長は、自分は絡まれただけでもみ合っていて事件が起きたんだと こちらも、正当防衛を主張。 青雀さん、お願いします。…

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K-5-17

私がつかんだナイフは そのまま、私にささっていました。 ナイフを握っていたのは、課長です。 私は、ナイフの刃をつかみ 課長に向かっていったのです。 もみ合っている課長は、私と男の区別も無く暴れていたので ナイフをつかんだことすらわかっていなかったでしょう。 …

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K-5-16

私の病状悪化が、この子達の計画を早めたのでしょう・・ 先生は透明に近い手で、隣の坂詰君の肩をたたいた。 坂詰君が、話しはじめました。 忘年会の夜、 1次会の料亭を出て、2次会は私が予約したお店に・・・ ここは、大津君の亡くなったお母さんのお店でした。 オーナーはお母さんの写真と事件の記事を壁に…

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K-5-15

青雀さんに娘を助けて頂いてから1年、 私は倒れました。 先生は又、微笑んでいる。 「5人の計画も確実に進んでいるときだったので、まだ死ねないって思いましたよ」 接点がばれないように、病院には来ないように言ってありましたけど 坂詰君は、教え子とゆうことで毎日来てくれました。 どんどん、具合の悪くなる私を見ていて、 「先生、暮…

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K-5-14

お茶をいただき、連絡先の交換をして被害者のお宅を後にしました。 先生は、続けた。 それから数日して、 彼が学校に来たんです。被害者の息子さんが・・・・ 彼の名前は、大津信一君といいます。 あれから妹さんと警察に行って、割り込みをしてきた車の話をしてきたとゆうのです。 びっくりしました。 「なぜ?」 思…

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K-5-13

寒い朝だった。 「腹をくくった私は、隣町の被害者のお葬式に出ることにしました。」 先生は、話をつづけた。 坂詰君のお通夜と違って、沢山の弔問客でごった返していました。 報道関係者もいます。 そして、弔問客に頭を下げているのは・・・ 子供でした。 正確には、高校生と中学生だったのですが・・・・ …

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K-5-12

うなされながら、 坂詰君のことを思い出した。 東尋坊で会った紳士は、学校の先生で私と坂詰君を会わせた人だ。 この人は、軽く私たちと同じ力があったらしい。 坂詰君の両親が事故で亡くなった時、 お通夜の席で、子供たち二人のそばにたたずむご両親が見えたそうだ。 それまでは、一切そんな力に…

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無力・・・・・

謙さんが枕元で心配そうににぞきこむ。 「ごめんね、青雀ちゃん 」 「ここのところ、続けて呼び出しちゃったもんね」 毎日、夜中の東尋坊が続いていたせいなのか 熱を出して寝込んでしまった。 私みたいな体質?だと、まったく病気を寄せ付けないタイプと どっぷり具合の悪くなるタイプにすっぱり分かれるようだ。 ちなみに、私はとことん具…

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K-5-11

朱音ちゃんは、無事にかえったかなあ~、 学校にきていたので、彼女のその後は見ていない。 母が警察まで送り、朱音ちゃんのご両親と会ったとは聞いたが その詳細は聞かなかった。 無事なら、それでいい。 家族の中までは、入り込まないのが我が母のさっぱりしたところである。 父は、数日の間、 「朱音ちゃん、げんきか…

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K-5-10

謙さんが助けた女の子は、四国から死に場所を探して来たとゆう。 自宅の住所は教えてくれないが、さすが日本の警察だ。 すぐに捜索願と照合されて連絡が取れた。 学校内のいじめと、受験のプレッシャーの板ばさみで衝動的に家を出てきたようだ。 きっと、最初は死のうなんて考えていなかったのかもしれない。 四国からは、すぐに到着できな…

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